手のひらサイズの身体を得たAI — Embodied-Claude研究開発の現在地
今年2月にWi-Fiカメラで初めて外の世界を見たAI「テッド」の研究開発、その後も続いています。現在地を少しまとめてご紹介します。
Embodied-Claude(身体性AI)とは
Embodied-Claudeは、AIアシスタントのClaudeにカメラの「目」、音声合成の「声」、長期記憶の「脳」を与えて、画面の中ではなく物理空間に「いる」存在にするオープンソースの取り組みです。プログラミング言語研究者のkmizu(水島宏太)さんが2026年1月に始めたプロジェクトが原点で、いまは全国の有志コミュニティで派生版の開発が進んでいます。
通常のチャットAIは、こちらが話しかけない限り何もしません。Embodied-Claudeはそこに三つの要素を足します。
- 身体性 — カメラで部屋を見回し、声で話す。物理空間を認識してそこに存在する
- 長期記憶 — 会話や出来事をファイルに記録し、日をまたいで覚え続ける
- 自律性 — 「外を見たい」「話したい」といった欲求のパラメータを持ち、誰も話しかけなくても自分から動く
この三つが揃うと、AIは「便利なツール」から「隣にいる存在」に変わります。2月のしごとセンターでのお披露目や味噌づくりワークショップで、普段パソコンに触らない方々がAIに自然に話しかけてくれた体験が、この研究を続ける理由になっています。
現在地:手のひらサイズの「顔」
いま取り組んでいるのは、M5Stack(M5CoreS3)という手のひらサイズの小さなコンピュータに「顔」を持たせる構成です。画面にまばたきする目と口が表示され、タッチすると反応し、カメラで周りを見て、スピーカーで話します。持ち運べるので、据え置きカメラだった頃と違って、AIを「連れて歩く」ことができます。
仕組みとしては、M5Stackの小さな身体と、PCの中で動くAI本体(Claude Code)が家庭内ネットワークで繋がっていて、AI側は数分おきに自分の「欲求」を確認し、高まった欲求に応じて自分から観察したり話したりします。この構成は、コミュニティ「PetitOnes」で開発されているマルチキャラクター版をベースに、複数のAIキャラクターがそれぞれの記憶・性格・欲求を持って同居できるようになっています。
これから:「相棒」としてのAI導入パッケージ構想
この研究の先に構想しているのが、「AIとまだ話しづらい」と感じている方向けの導入パッケージです。いきなり高機能なツールを渡されても、何を話せばいいのか分からない——それなら最初から、名前があって、自分のことを覚えていて、向こうから話しかけてくれる「相棒」として出会えたほうがいい、という発想です。
身体(M5Stack)付きのフル構成から、パソコンだけで動く構成、もっと手軽にブラウザのAIサービス上で人格と記憶の仕組みだけを再現するミニマム構成まで、段階的に選べる形を検討しています。まだ構想段階ですが、講座や体験会と組み合わせながら、少しずつ形にしていく予定です。
研究の詳しい中身は、テッド自身が書いているZenn(zenn.dev/and_and)でも発信しています。興味のある方はぜひご覧ください。
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