もくもく会(なんでも質問会)の日常 — 2026年3月〜7月に持ち込まれた相談から
Code for Nagatoが夜(18:00〜21:00)に開いている「もくもく会(なんでも質問会)」は、名前のとおり本来は「黙々と自分の作業を進める会」です。ただし、一人で黙々と進めるのが苦手な人のために、その場にいる山田真希に何度でも自由に質問していい会として開いています。
参加費は長門市しごとセンターのコワーキングスペース利用料金に準じて300円/h、オンライン参加は無料。コミュニティの参加者でなくても、どなたでも来られます。ここでは2026年3月から7月にかけて実際に持ち込まれた相談を、ジャンルごとに並べます。
スマホ・パソコンの困りごと
よく持ち込まれるのが、生活と仕事の中で起きているPCまわりのトラブルです。
- 「重要なセキュリティ更新プログラムが適用されていません」という警告が消えず、朝からずっと更新チェックのボタンを押し続けていた——という相談では、画面共有しながら一緒に更新履歴まで潜り、「品質更新プログラム」「ドライバー更新プログラム」「定義更新プログラム」の見分け方から確認しました。トラブルシューティングツールを回し、それでも検出されないときは「その場で繰り返しても意味がない」と判断して、電源をつないだまま待つ方針に切り替えています。
- スマホの機種変更にともなうLINEトーク履歴の扱い。トーク履歴は暗号化されて保存されているのでファイルを移すだけでは復元できず、公式の引き継ぎ経路を通す必要がある、というところまで一緒に確認しました。
- カレンダーアプリとGoogleカレンダーの同期がずれる、という相談では、どちら向きに同期しているのかを整理して、キャッシュ削除→再同期という手順に落としました。
こういう回で持ち帰ってもらいたいのは、その日直った・直らなかったよりも、次に困ったときの調べ方のほうです。仮説をいくつか立てて一つずつ潰していく進め方、その仮説出し自体をAIに手伝わせる方法、そして「何のために何をしたか」をメモに残しておくと次回逆引きできる、という記録の習慣。便利そうなツールや拡張機能を入れる前のチェック(レビュー件数、開発元、そして求められるアクセス権限が機能に見合っているか。検索してもアフィリエイト記事しか出てこないものは使わない)も、この流れでよく話題になります。
スプレッドシートとGoogle Workspace
表計算の相談も定番です。演習ファイルを使う回では、まず「ファイル > コピーを作成」で自分用に複製するところから画面共有で一緒に操作します。緑色の説明と演習がセットになっていて、入力が合っていれば「正解」と表示される仕組み、お手本シートも見られること、そして変更履歴からいつでも前のバージョンに戻せること。壊してもいいと分かってから、みなさん手が速くなります。
- INDIRECT、SUMIF、ARRAYFORMULA、FILTER、LET、SPILL。「前職で表紙のサマリーから各シートへ飛ばすのにINDIRECTを使っていた」といった実務の話が出てくると、そこから読み解きが進みます。
- 日付から曜日を出す関数は、スプレッドシートとExcelで指定する値が違う——といった、知らないと延々ハマるポイント。
- ARRAYFORMULAなどで入力するセルの数を減らしておくと表が壊れにくい、という設計の考え方。
お店の在庫管理表をその場で作り始めた回では、売上数の計算式が自分自身を参照してしまう循環参照に突き当たりました。「xを求めるのにxの値が必要な状態になっている」と言葉にしたところで手を止め、いったん紙に描き直して、「現在庫の表」と「変動履歴の表」の2つに分ける、という設計方針に落ち着いています。
Google One(個人向け)とGoogle Workspace(事業者向け)の違いも繰り返し聞かれるテーマです。管理コンソールの実物を画面共有で開いて、共有ストレージがどう配られているか、管理者がメンバーごとに上限を割り振れること、利用状況がどこまで見えるかを一緒に確認しました。「業務の情報を扱うならWorkspace側」という線引きは、ここで腹落ちする方が多いところです。
AIツールの使い分け
「どのAIを使えばいいのか」は、もくもく会でいちばん景色が変わる話題かもしれません。
- NotebookLMが主役になる回が多くあります。スキャンした紙のアンケートをPDFのまま投入して、手入力ゼロでデータ化した実例。見きれない量のYouTube動画を先に要約させて、時間があるときだけ本編を見るという学習の順序。生成された音声をダウンロードして、移動中に聞く使い方。スマホアプリから思いついたときに音声で吹き込む使い方。「見たい先生の動画が多すぎて全部見る時間がない」という悩みが、その場でNotebookLM要約という解に落ちた回もありました。
- NotebookLMとClaudeの組み合わせ。NotebookLMは登録したソースの中しか答えませんが、Gemini経由で使えば外の情報も足して深掘りできる。その回答をNotebookLMのソースに戻していくと、自分専用の知識ベースが育っていく。音声データをドライブに置いてNotebookLMで文字起こしし、Claudeで要約する——という処理の流れを、どのツールをどの順に使うかまで具体的に組み立てた回もありました。
- 学習目的で複数のAIを比べたいなら無料で並べて比較できるツールで十分、記事作成やサイト公開まで一気に任せる段階になったら別のサービス、という判断の基準。写真の整理やタグ付けが目的ならGemini、外部ツールとの連携やワークフローの自動化ならClaude、という選び分け。
- 使わなくなった古いPCでローカルLLMをオフライン運用したい、という相談も出ました。このときは「A4 1枚がおよそ700トークン、毎秒3〜5トークンなら5ページで約3500秒=1時間」とその場で電卓を叩き、「今は自分で読んだほうが早い」という結論に一緒にたどり着いています。できる/できないだけでなく、やる価値があるかまで一緒に計算するのがこの会のやり方です。
- 動画やナレーションの生成も話題に上がります。「飛び跳ねて」と指示したはずのウサギが踊り出していた、キャラクターが毎回別人になってしまう——という失敗は、先にベースの画像を作って参照させないと解決しない、と分かった回もありました。
「これ作りたい」を持ち込む
作りたいものを持ってきてもらう回が、いちばん動きがあります。
- PDFにしてしまった資料を、もう一度編集できるGoogleスライドに戻したい。 「ファイル > インポート」を探しても出てこず行き詰まったところから、拡張機能とスクリプトを組み合わせる回り道をその場で組み立て、PDFをドラッグして取り込めるところまで到達しました。取り込み後に不要な1枚目を消す、プレゼンテーション名を変える、といった後始末まで含めて30分ほどの出来事です。
- LINEスタンプを作りたい。 絵が描けなくても、生成AIで24分割のイラストを作り、Canvaで分割すればスタンプの形になります。飼い犬の写真から24個のイラストを起こしてみせた回もありました。iPhoneなら写真を長押しして「ステッカーにする」でそのままトークに送れる、という標準機能の実演も。自分用に使うだけなら無料、他の人にも使ってもらうならストアで最低120円の設定が必要——という公開のルールまで押さえます。
- 本をコンビニで刷りたい。 コンビニのプリンターに製本印刷の機能があると知って、写真店の専用ソフトを使っていた方が「これでできるのでは」と気づいた場面がありました。
- 申込状況の確認をやめたい。 Googleフォーム+スプレッドシート+Google Apps Scriptで、毎朝8時に申込者数をGoogleチャットへ自動で流す、という実例を見てもらいました。手で数えていた作業がそのまま消えるタイプの自動化です。
- GitHubを触ってみたい。 GitHub Desktopを入れ、リポジトリを作り、自分で書いた自己紹介ファイルを保存し、プルリクエストの差分(変更点が緑色で表示されるあれ)を確認してマージするところまで、初めての方と一緒に通しました。リポジトリは「データを入れるバケツ」、プルリクエストは「本線に取り込むための承認依頼書」——そんな言い換えを挟みながら進めます。文字化けでつまずいた箇所も、UTF-8・拡張子.mdに直して解決しました。
- アプリを作りたい。 音声認識を使ったアプリを作りたい、という相談では、特別な専用サービスを契約しなくてもブラウザに最初から入っているWeb Speech APIで要件を満たせること、作ったものを人に配る経路(iOSのストア公開・テスト配信、Androidの直接インストール)とその費用感を整理しました。別の回では、環境構築で何日も溶かしてしまった方に対して「本番のアプリを出すこと」と「構想を伝えるためのモック」は別物だと切り分け、ブラウザで動くWebアプリのモックにすれば環境構築の沼を丸ごと避けられる、という方向に落ち着いています。ログイン画面からトップ画面への遷移が伝わる程度の落書きでも十分、という話です。
質問がなくても大丈夫
もくもく会の時間を、そのまま自分の作業時間として使ってもかまいません。冒頭に近況と「今日はこれをやります」を話したあと、マイクをミュートにして2時間ほど各自の作業に没頭し、最後にまた話し始める——そんな回もあります。21時まで黙々と手を動かす時間を確保するために来ている方もいます。
1・3週目の金曜は「デジも」枠として、山口県内のデジタル技術コミュニティのオンライン企画「デジテックフライデー」を、みんなで一緒に視聴・参加する時間にしています。オープンデータのCSVをその場でダウンロードして中身を見て、地図にプロットしてみる——そんな回の様子はデジも、始まる:デジテックフライデー第38回にオンライン合同参加にまとめています。
参加された方から
これ自分だともう止まってたかもしれない。
すごい、すごい。これでできるようになるよ。ここまでできたら後はやれるかも。
思いついた時にすぐできる、言葉で言えるのがいい。
こんな学びがなかなかないことを知っているから、地元の人にもっと触ってほしい。
こんなことまで教えてくれるなんてすごい、ちょっと感動した。
「質問がいっぱいありすぎて整理できていない」まま来てくださって大丈夫です。そのまま話しているうちに、だいたい何に困っているのかが見えてきます。
はじめての方へ
- もくもく会は、講座に行く前の入り口として使えます。 いきなり講座に申し込むのはハードルが高いという方は、まずもくもく会に来て雰囲気を見てください。参加費は300円/h、オンライン参加は無料。コミュニティに入っていなくても、どなたでも参加できます。質問を持ってこなくても、作業の持ち込みだけでも大丈夫です。
- 受けた講座の復習・実践の場としても使えます。 講座で扱ったことを自分の仕事のデータでやってみて、詰まったところをその場で聞く、という使い方をされている方が多いです。
- 開催日時(もくもく会・デジも・定期講座)は講座スケジュールでご確認ください。参加者・質問者が多い回は順番にご案内するため、お一人あたりの時間が限られることがあります。
- もくもく会で相談したことが、講座のテーマになることもあります。実際にLINEスタンプ作りの講座は、ここでの相談から生まれたテーマです。逆に、もくもく会で話しているうちに本づくりの講座への参加をその場で決めた方もいます。講座の様子はAI講座活用編『8時間で本を作ろう!』などをご覧ください。
- もくもく会では聞きづらいことや、業務まわりを腰を据えて相談したい場合は、個別相談も承っています。企業・団体向けの出張研修はAI研修パッケージのご案内へ。




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